LEDIAMIX JOURNAL

リディアミックス ジャーナル

目の錯覚

この記事は投稿から一年以上経過しています。


この縦棒と横棒、どちらが太く見えますか?

 

なんとなく横棒のほうが太くみえませんか?

 

これは目の錯覚によるもの。

実はどちらとも同じ太さなのです。

 

 

私たちが普段使っているフォントは、こういう錯覚を考慮した上で自然に見えるように作られているというお話。

 

これをフォントのTで見てみましょう。
フォントは世界中で使われている「Helvetica Bold」です。
ちなみにヘルベチカは「スイスの」という意味だそうですよ。


横線が太く見えることを考慮して縦線のほうが太くなっています。
こうすることで線の太さが均一に見えるのですね。

 

 

 

Xの文字も特徴的です。

ただの棒を2本クロスさせただけでは実は綺麗に見えません。
斜めの線をクロスさせると中央の黒みが強くなりすぎます。
また、ただの棒だと繋がっているようにも見えないのです。
なので、中央にいくほど細く、線は意図的にずらして安定した形に見せています。

 

 

 

最後にAを見てみます。

反転してみると、右の足が太く作られていることがわかります。
これも安定して見えるようにするためです。セリフ体も右足が太いので、その流れを組んでいるのかもしれません。

 

 

ここまでに紹介したアルファベットが入ったもので見比べてみましょう。

どうでしょうか。

上の「NEXT-A」は少しギクシャクしているようにみえませんか?
Xはうまくクロスして見えずなんとなく頭でっかちに。縦横の太さがなんとなく違って見え、最後のAはなんとなく不自然。

 

下はHelvetica Bold。
きっと自然に見えると思います。

 

 

 

このようにフォントは目の錯覚まで考慮し、その違和感を無くして自然に見えるように作られています。
パソコンに入っているフォントは長年の時間を耐え抜いた美しい形。
それをキーボードを打つだけで使えるなんてすごいことです。

ただ、フォントを使う時は、そんなに難しいことを考える必要はありません。
フォントデザイナーの小林彰氏も著書「フォントのふしぎ」の中で「フォントは見た目で選んで使えばいいのです」と言っています。

 

Helveticaが「スイスの」という意味であってもスイス以外で使ってはいけない、なんてことはありません。
Trajanは古代ローマの建築物に刻まれた文字から生まれたからイタリアぽすぎる、なんてこともありません。

質の良いフォントを、バランスよくレイアウトしたいものです。